萩尾望都先生の漫画「11人いる!」を解説します。
11人いる!の…
- キャラクター紹介
- ストーリー解説
漫画全話と関連書籍の内容を元にまとめました。
少女漫画史の中で輝き続ける名作の思い出をあなたにお届けします。
僕は「11人いる!」で初めて萩尾先生の作品を読みました!
11人いる!とは
「11人いる!」は日本を代表する漫画家・萩尾望都先生の代表作の1つです。
- 1975年に別冊少女コミックで連載
- 小学館漫画賞少年少女部門を受賞
- テレビドラマ化、アニメ映画化、舞台化
宇宙大学の試験で宇宙船に閉じ込められた受験生たちを描くSF密室劇。
本来なら10人1組のチームで挑むはずの試験に謎の11人目が紛れ込みます。
- 船内で多発するトラブル
- 11人目は誰なのか?
- 無事に脱出できるのか?
それぞれが持つ秘密や過去。思惑や感情が交錯する中、サスペンスチックなストーリーが展開します。
ハンターハンターなど、オマージュする作品も多く、
様々な作品に影響を与えています。
11人がいる!のキャラクター
「11人いる!」には、様々な惑星からやってきた個性豊かな受験生たちが登場します。
名前 | 愛称 | 出身 |
---|---|---|
タダトス・レーン | タダ | テラ系 シベリース |
フロルベリチェリ・フロル | フロル | 辺境星ヴェネ |
マヤ王バセスカ | 王さま | サバ系 アリトスカ・レ |
ソルダム四世ドリカス | フォース | サバ系 アリトスカ・ラ |
アマゾン・カーナイス | アマゾン | テラ系 シュシュ |
チャコ・カカ | – | テラ系 クエス |
ドルフ・タスタ | – | テラ系 ペロマ |
トト・ニ | – | サバ系 ミス |
ヴィドメニール・ヌーム | ヌー | 辺境星 ヴィヌドー |
ガニガス・ガグトス | ガンガ | サバ系 トレドレーガ |
グレン・グロフ | 石頭 | セグル系 灰白色星 |
中でもヒロイン(?)のフロルは読者からも人気があるキャラクターです!
一部のキャラは受験番号が明らかになっています。
- 王さま(三・二三三)
- アマゾン(三・一〇四)
- ガンガ(三・五七九)
タダトス・レーン
「11人いる!」の主人公で愛称はタダ。黒髪とヘアバンドがトレードマークの少年です。
- 真面目な性格
- 嘘を見抜く直感力
- 一部の記憶が封印されている
手を触れることで嘘がわかるテレパシーのような直感力を持っています。
幼い頃に事故で両親を亡くしていますが、当時の記憶は育ての親である長老に封印されています。
フロルに身長を聞かれたときには165センチと答えていました。
フロルベリチェリ・フロル
愛称はフロル。見た目は金髪と巻き毛の美少女です。
- 言動が荒っぽい
- 雌雄未分化の両性体
- タダに好意を抱く
かわいい見た目とは裏腹に言動が荒っぽく、熱血少年のような性格です。
成長すると男か女になる両性体ですが、フロルは女の子扱いされることを嫌います。
宇宙船で行動を共にする内にフロルはタダに惹かれます。
マヤ王・バセスカ
愛称は王さま。受験番号は三・二三三。
ストレートの長髪で端正な顔立ちをした青年です。
- 受験前に王位を継承
- 宇宙大学への受験は腕試し
- リーダーシップがある
宇宙大学への受験はあくまで腕試し。合格後は国の統治をする予定です。
王族らしく切れ者でリーダーシップがあり、乗船直後はキャプテンのように振る舞っていました。
続編の「続・11人いる」では立派な王様さまとして活躍します。
ソルダム四世ドリカス
愛称は四世ということでフォース。見た目がさわやかなイケメンです。
出身地が隣りの星ということもあり、王さまとはすぐに打ち解けて行動を共にします。
- 自身の出身サバ系よりも歴史が浅い
- ユニークな容姿が多い
このような特徴を持つテラ系を見下す一面がありました。
細かいシーンですが、フェミニスト?な一面を見せます。
アマゾン・カーナイス
愛称はアマゾン。受験番号は三・一〇四。
額にバンダナを巻いた青年。狩りが盛んな星の出身のため、身体中に傷跡があります。
シャワー室で偶然フロルの裸を目撃し、男だと思われていたフロルの性別に疑問を持ちました。
ちなみに服のボタンが大きいのはサイボーグ009を意識してとのこと。当時の石ノ森章太郎作品の人気がわかります。
チャコ・カカ
色黒でアフロヘア―な青年。関西弁で話すのが特徴です。
ドルフ・タスタ
愛称は赤鼻。身体が大きく、鼻にそばかすがある青年。
気弱な雰囲気がありますが、11人目の疑いをかけられたタダを銃で撃っています。
トト・ニ
耳が大きい恥ずかしがり屋な少年。自己紹介のときは顔を真っ赤にしています。
植物に詳しいキャラクターで宇宙船内で農作物を育てていました。
ヴィドメニール・ヌーム
愛称はヌー。長身で全身がトカゲのように鱗に覆われています。
両性種であるヴィヌドー種族で、本来なら成人すると男女に分かれるはずでした。
男にも女にもならなかったヌーは、ヴィドメニールと呼ばれる僧になっています。
ガニガス・ガグトス
愛称はガンガ。受験番号は三・五七九。
身体の内部が全身緑色のサイボーグです。
- 出身のトレドレーガでは風土病が蔓延
- 30歳前後で死亡する短命種族
- 種族を長生きさせるための実験体サイボーグ
短命なトレドレーガ人を長生きさせるために、9歳のときに実験体としてクロレラ培養を受けました。
11人目の工作で引き起こされたタダのミスで負傷。しかし、手術で自分を救ったタダを信用します。
けっこう重要なキャラクターだと思います。
個人的にフロルとタダの次に好きです。
グレン・グロフ
愛称は石頭。岩石人間と呼ばれるような容姿が特徴です。
タダの直感力を試すため、最初の自己紹介では偽名(アインツバイ)を名乗りました。
アイン・ツヴァイはドイツ語で「1・2」の意味。
適当な偽名であることがわかりますね。
11人いる!のあらすじ(ネタバレ)
「11人いる!」のあらすじを解説します。
宇宙大学の最終テスト
地球人類が異星人と交流する未来が舞台。
宇宙大学入学の最終試験に参加した受験者たちは宇宙船・白号(はくごう)に乗り込みます。
1人 多いぞ 11人いる…
11人いる!©萩尾望都/小学館
10人で参加するテストのはずでしたが宇宙船内には11人が存在。
混乱するメンバーの元にメッセージが届きます。
- 宇宙船に53日間とどまること
- 1名でも脱落した場合は全員が不合格
- 緊急時は非常用の赤ボタンを押すこと
テストの合格を目指して、11人は宇宙船・白号で53日間を過ごすことになります。
謎の11人目は果たして何者なのか…。
ガンガの負傷
タダのミスが原因でガンガが負傷します。
タダはフロルと協力して手術に挑み、ガンガは一命を取り留めますが…
事故を起こしたことでタダは11人目として疑われてしまいます。
フロルの性別
シャワー室で偶然フロルの裸を見たアマゾンがフロルは女性だと主張。
この騒ぎでタダはフロルが両性体であることに気づきます。
- 一定時期まで男性でも女性でもない
- 5人兄妹の長子だけが男になる
- 一夫多妻制
男性になりたい末子のフロルは、合格したら男になってもいいという条件でテストに臨んでいました。
タダは「美人になるだろうな」と
フロルが女性になった姿を想像しています。
温度上昇と伝染病
宇宙船・白号の公転軌道が変わったことで宇宙船内の温度が上昇していきます。
- 温度上昇で船内の電導ヅタが発育
- 40℃に達すると電導ヅタからデル赤斑病が発生
- 44日目に船内温度が40℃に達する
空気感染するデル赤斑病は死亡率93パーセントの伝染病です。
残り9日間で11人はこの危機を回避するための行動を迫られます。
タダが失った記憶
図書室で電導ヅタについて調べているとタダの記憶が蘇っていきます。
タダは5歳の頃、白号に乗船していてデル赤斑病の発生に遭遇していました。
- 乗員がデル赤斑病に集団感染
- ワクチンが足りずに乗員の9割が死亡
ワクチンを接種できたタダは生き残りましたが、この事故で両親を失っています。
ワクチン作成
38日目。宇宙船内の温度は34度。
デル赤斑病に感染したガンガの身体からワクチン作成の目途が立ちます。
その後、船内の爆弾を利用して宇宙船の軌道を変えることに成功しましたが…
11人がいる!のラスト
フロルが発症
44日目。ワクチンが効かなかったフロルがデル赤斑病を発症。
メンバーは多数決で不合格になることを決め、緊急用の赤いボタンを押します。
ぼくと結婚しなよ
11人いる!©萩尾望都/小学館
不合格を落ち込むフロル。なぐさめるタダはフロルが女になるのを待つと言い切ります。
ここで2人の距離が一気に近づきます。
11人目の正体
スクランブルのボタンを押したことで宇宙船が迎えに来ます。
そこで11人目の正体が石頭ことグレン・グロフであることが明かされます。
- 11人目の正体はグレン
- 地球統合政府の大佐
- タダに勝るテレパシー能力を持つ
- 53日の間にスクランブルを起こす
- 緊急用の赤いボタンを押させる
- 受験生の生命を守る
常に変化する宇宙への適応力を試すため、グレン大佐は11人目として潜り込んでいました。
また、グレン大佐はタダを故意に白号のグループに入れていました。
ラストシーン
全18組の中で最長期間(45日間)を耐えしのいだタダたちはトップの成績で合格します。
合格はフロルが男になるための条件でしたが…
女になってもいいや
11人いる!©萩尾望都/小学館
フロルはタダと一緒にパイロットコースへ進むことを誓います。
共に45日間を過ごした仲間たちは、それぞれの未来へ向かって歩んでいきます。